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「キリンラーメン」から学ぶメディア(動画)活用
愛知県碧南市にある小笠原製粉が製造販売するご当地ラーメン「キリンラーメン」が大人の事情により名称変更をすることになりました。名称変更は7月から「キリンラーメン総選挙」として一般からの投票を呼びかけ、8月1日にYouTubeライブ配信で発表を行いました。新名称候補は「ヘキナン」「キリマル」「オガサワラ」の3つ。その中から新名称に決まったのは、
キリマル
「キリマル」に決定となりました。HP上では今後のスケジュールについて詳しい説明はありませんが、今年中に新名称での商品発売を予定しているそうです。大人の事情とはいえ、大企業のキリンと係争中であることは暗黙の了解です。ことの経緯は「キリンラーメン騒動 経緯と対策」でまとまっています。
騒動を逆手にとる
今回の新名称発表では、YouTubeでのライブ配信を行い、その模様を地元テレビ局数社が撮影していました。地方の中小企業にとって、メディアが多数取材に押しかけるというのはあまり機会がありません。ですから、メディア取材があれば注目度もアップしますので、嬉しい半面注意が必要です。今回の発表もメディア側はどうしてもキリンとの騒動を重ねながら報道をしたがります。キリンラーメン(小笠原製粉)としては、「騒動」ではなく新たな船出としての小笠原製粉を取材してほしかったのだと思います。どちらも自分にとって都合の良いことを伝えようとしていると言えなくもないですが、会社(取材される側)としてはせっかく気持ちを切り替えて頑張ろうとしているところへ水を刺されることになってしまってはやるせないわけで、なんとか自分の思いもしっかりと届けたいと思うのは当然でしょう。
そこで、今回はYouTubeのライブ配信をキリンラーメンは行いました。ライブですので、ありのままを伝えることができます。テレビのニュースでは、ライブ配信と違い、編集もしますしテロップで印象的な言葉を抜き出すこともします。また、記者が記事を書くことでニュアンスが変化して伝わる場合もあります。こうしたリスクを管理するためにもYouTubeライブ配信は良い選択肢だなぁと感じました。
メディア対応の難しさ
少々余談ですが、テレビ局からの質問の中で、「現在係争中の件についてどのようにお考えか?」とありましたが、これは本当のことをカメラの前で語ったところで、恐らく放送では使えないと思います。民放の営業担当にしてみれば、キリンという超ビッグスポンサーの不利益な情報を流すことは極力避けたいからです。ましてやまだ係争中なのです。取材に応じた小笠原専務も「コメントは差し控えます」と言っていました。そしてこの部分はライブ配信終了後の質疑応答場面でしたので、テレビの報道ともしギャップがあった場合でも検証することはできません。
中小企業と動画
こうした一連のことから分かるように、ネットでは話題性が高くなればなるほど一気に広がりますので、メディアとどううまく付き合うかが、大変重要になってきます。良いことも悪いことも関係ありません。ネットは写真、テキスト、動画を掲載することができますが、「動画」についてはまだまだ写真やテキストのようにチェックや校正もしっかりせずに露出してしまうことがあるかもしれません。
大企業と違い中小企業ではまだ動画に時間と予算をかけて作るところは多くありませんが、もし制作されるのであれば、しっかりとリスク管理をして取り組みたいところです。だからといって、動画を控える必要もありません。積極的に活用して、イメージ戦略をしていきましょう。近い将来、プレスリリースが動画になる時代が訪れるかもしれませんので。