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映像による地域貢献について考えてみた
映像による地域貢献、というと耳障りの良い言葉として聞こえます。しかしながら、そうした言葉が聞こえるところからは大手メディアや広告代理店が群がっている構造が見えてきます。ビジネス(お金)と地域貢献・地域活性がつながることの裏側に何があるのでしょうか。
経産省が後押しする「映像」
現在、経産省の肝いりで国内の映像事業に予算をつぎ込むという名目で大手メディアと広告代理店に税金を流し込む作業が行われています。当社のような田舎の零細中小企業にはまったく恩恵のない話です。若手育成と日本の映像コンテンツを世界に発信することが(業界内では)大々的に行われています。先日も「映像による経済的波及効果の重要指標」なる冊子が送られてきました。平成24年度コンテンツ産業強化対策支援事業(若手人材発掘育成・国際ネットワーク構築事業)の一環のようです。この中で「ミクロからマクロへ」というテーマで、どのようにすれば狭い地域から全国・世界に発信(販売)できる良質なコンテンツを作ることができるのかということを分析しておられます。
でも正直に申し上げてそんなことが役に立つはずがないのです。いや、もしかしたら東京などの都会のプロダクションが地方にやってきて番組を作るためには役に立つノウハウなのかもしれません。「経済効果」を出すために必要なPDCAも結構ですが、コンテンツで一番大切なのは映像の質。ミクロな地域で高品質な映像コンテンツを作るために必須なのは間違いなく「人」です。地方になればなるほど人の関わりは密接。そういう大切な部分を金で買って作るコンテンツにはどうしても限界があります。都会モンがいきなり田舎にやってきて金で引っかき回して映像作って帰っていき、残された地域にはペンペン草さえ生えていない…そんなことになりかねないと思うのです。田舎者の僻みに聞こえるでしょうか。
私なりの地域貢献
私はメーテレ時代を経て独立開業してからというもの、自分を育ててくれた故郷に映像で恩返しできないものかと考え行動してきました。地域映像を仲間とほぼ二人で5年以上やってきました。そういうことはお金ではなんともできないことも多いです。
2011年に制作した特別ドキュメンタリー番組「にしおのひと」は1市3町が合併し新西尾市となったことをきっかけに企画したもの。番組はデジタルシネマ仕様で全編撮影し西尾市民約100名にご出演いただきました。約1時間のオムニバス形式インタビュー番組ですが、映画としても充分上映に値する品質だと思います。今は公開する場が提供されておりませんが、いずれはどなたでもご覧いただけるようになるといいなぁと感じています。
ほかにもこれまでに「岩瀬文庫の世界」(現在webにて『岩瀬文庫の世界』として展開中)や「吉良饗庭塩復活」「剣道のまち西尾」「USTREAM配信事業in西尾市」「ミュージックビデオ制作講座」など西尾市に絡む番組をざっと100本以上制作してきました。
ほとんどの予算は地元ケーブルテレビさんの番組予算か西尾市の予算です。しかしCATVも台所事情がキビシイらしく番組予算は縮小の一途。行政もスリム化を目指しており決して潤沢とはいえません。一番地域に根ざすべき地元プロダクションは虫の息です。
愛知県内では昨今何故か市民映画が大流行しています。これも映像コンテンツによる地域活性の手段のひとつでしょう。参加したい市民が集まってワークショップを開き最終的に上映会を開くまでの道のりは大変なことですし、多くの方の協力なくして達成することは難しいと思います。これとて人の繋がりや力があってこそ。外の地域で活躍するプロの助けも必要かもしれないですが、市民が主体的にやらなくては意味がないでしょう。金を用意してプロダクションを外から呼んで市民が出演する映画を作ってもそれは決して市民映画と呼べるシロモノではないですよ。