- トップページ >
- MVJコラム >
- 映像制作会社のコラム
- 社会人のための動画制作入門 ~効果的な企画の立て方~
社会人のための動画制作入門 ~効果的な企画の立て方~
社会人のための動画制作入門 ~効果的な企画の立て方~
SNSの普及により、企業や個人での動画活用が当たり前となった今、多くの社会人が動画制作に関わる機会が増えています。しかし、いざ制作しようとすると「何から始めればいいのか分からない」という声をよく耳にします。
実は、良質な動画を作るためのポイントは撮影や編集の技術よりも、企画段階にあります。30年以上にわたりテレビ番組や企業PR動画の制作に携わってきた経験から、効果的な企画の立て方についてお伝えしていきます。
企画とは目的を達成するための設計図
企画とは単なるアイデアではありません。目的を達成するための具体的な設計図です。私が以前、某テレビ局のディレクターとして働いていた頃、ベテランプロデューサーから「企画書は夢を実現するための地図だ」と教わりました。
この言葉の意味は、後に独立して企業のPR動画を手がけるようになってから、より深く理解できました。クライアントの要望を形にする過程で、明確な企画がないと制作の途中で迷走してしまうことを何度も経験したからです。
企画立案の3つのステップ
企画を立てる際は、以下の3つのステップで考えることをお勧めします:
1. 目的と対象を明確にする
まず問うべきは「なぜこの動画を作るのか」「誰に見てもらいたいのか」です。例えば、新入社員研修用の動画と、SNSで商品をPRする動画では、まったく異なるアプローチが必要です。
私が実際に経験した例を挙げると、ある建設会社の企業PRビデオを制作した際、当初クライアントは「会社の強みを伝えたい」という漠然とした要望でした。しかし、詳しく話を聞いていくと「優秀な技術者を採用したい」という具体的な目的が見えてきました。そこで、若手技術者をターゲットに据え、現場で活躍する社員の姿を中心に構成を組み立てることで、効果的な採用PRビデオを作ることができました。
2. 核となるメッセージを決める
動画で伝えたいことを一言で表現してみましょう。これが企画の軸となります。複数のメッセージを詰め込みすぎると、かえって印象が薄まってしまいます。
例えば、私が担当したあるドキュメンタリー番組では「地域の伝統を守る若者たちの挑戦」という核のメッセージを設定しました。撮影中、さまざまな話題が出てきましたが、このメッセージに沿った要素だけを選び取ることで、ストーリーの一貫性を保つことができました。
3. 具体的な構成を組み立てる
メッセージが決まったら、それをどのように表現するか、具体的な構成を考えます。この際、以下の要素を意識すると良いでしょう:
- オープニング:視聴者の興味を引く導入
- 展開:メッセージを伝えるための具体的な事例や証明
- クロージング:視聴者に残したい最後の印象
私の経験では、3分程度の動画であれば、3~4の要素に絞って構成するのが効果的です。
企画書の具体的な書き方
企画を形にする際は、以下の項目を含めることをお勧めします:
- タイトル
- 企画の目的
- ターゲット視聴者
- 核となるメッセージ
- 想定尺(長さ)
- 構成案
- 必要な撮影素材
- 制作スケジュール
特に重要なのは、構成案の部分です。時系列に沿って、具体的にどのような映像を使い、何を伝えるのかを記述します。
企画立案でよくある失敗とその対策
- 目的が不明確
→ 「この動画を見た人に何をしてほしいか」を具体的に書き出す - ターゲットが広すぎる
→ 「誰に一番見てほしいか」を絞り込む - 情報が多すぎる
→ 核となるメッセージに関係ない要素は思い切って削除 - 実現可能性を考慮していない
→ 予算、スケジュール、技術的な制約を確認
最後に
良い企画は、制作の効率を高め、より効果的な動画を生み出します。私の場合、企画にしっかり時間をかけることで、実際の撮影や編集にかかる時間を大幅に削減できた例が数多くあります。
また、企画は完璧である必要はありません。制作を進める中で、より良いアイデアが生まれることもあります。大切なのは、核となるメッセージを見失わないことです。
まずは小規模な動画から始めて、企画から実践までの経験を積み重ねていくことをお勧めします。その過程で得られる気づきが、より良い動画制作への近道となるはずです。