- トップページ >
- MVJコラム >
- 映像制作会社のコラム
- 動画制作の相場を知る(安い料金設定には要注意)
動画制作の相場を知る(安い料金設定には要注意)
動画制作の相場を知りたいと言う方は多いかもしれません。業界がそもそも不透明な印象を持たれているからかもしれませんが、実際はどうなのでしょうか。まず始めに答えを言ってしまうと「相場はあるようでない」のが現状です。というのも、動画業界も様々あります。映画、CM、テレビ、ブライダル、ウェブ、DVDなど。もっと細分化することもできます。弊社の場合でしたら、映画、テレビ、CM、企業VP、YouTube、ウェブ、展示用映像、DVD、セミナー、ライブ配信、ドローン、教育用教材、海外向けなどと幅広いです。それぞれに専門分野や得意分野を持ったプロダクションがあります。ですから、専門分野の中での相場観もあったりするわけです。
さらには、動画制作の工程を細分化することもできます。企画、台本、リサーチ、スケジュール管理、予算管理、カメラ、音声、照明、ディレクター、メイク、衣装、タレント、アシスタント、編集、カラコレ、CG、アニメ、音効、整音、選曲、ナレーター、オーサリングなどなど。これにウェブやパブリッシングまで含めると凄まじい数の工程が発生します。そしてそれぞれの工程には専門のプロがいます。…と、ここまで書くと、「あ、これは安くなさそうだぞ」とカンの良い方でなくとも分かるはずです。
これは他の業種でも同じことですよね。例えば、服ひとつでも、仕立て屋から量販店まで様々ですし、服を作るまでには様々な工程があり、それぞれに専門のプロがいます。安い材料を大量に仕入れ、安い人件費で大量生産し販売することで利益を上げるメーカー品もあれば、それなりの人件費でじっくりと取り組む仕立て屋の服もあります。どちらが良いかは買う人の判断ですが、その料金にはかなりの開きが生まれます。動画制作も全く同じこと。そのうえで、相場のお話をしていきましょう。
業界には料金基準表なるものが実は存在しています。それを見れば一目瞭然…と言いたいところなのですが、先程申し上げた通り、業界も様々でして。業種やプロダクションの規模により大きく変わってしまいます。ですから基準がある、と言っても実は役に立つような立たないような基準です。下の表をご覧ください。
プロデューサー | 製作統括者。企画段階から完成まで製作の全責任を負う人 | 70万~/月 |
ディレクター | 作品内容について責任を負う人。創造的な作業が主 | 60万~ |
AD | ディレクターの助手 | 45万~ |
カメラマン | 作品の撮影を担当する人 | 60万~ |
照明マン | 作品の照明を担当する人 | 60万~ |
音声マン | 作品の撮影時に音声を担当する人 | 55万~ |
これはあくまで平均値です。その人の経験値や知識などによりバラツキがありますし、プロジェクトによって料金が変動する場合もあります。さらに、これは月額で出してありますが、ひと月拘束できるわけではありません。ひとつのプロジェクトについて拘束する場合の月額となります。ですから忙しい人はいくつもプロジェクトを掛け持ちすることもあります。上記の表は人件費の相場です。動画制作は人件費だけでは作れませんので、これに機材費などが合算されることになります。場合によっては、一人で複数の業務を掛け持ちする場合もあり、その時は料金も割安になります。
撮影機材(カメラ)についても、あるプロダクションが公表している価格表をご覧いただきましょう。
Canon EOS C300 Mark II | 28,000円/日 |
SONY PMW-F55 | 51,000円 |
SONY HXR-NX5J | 8,000円 |
SONY PXW-Z190 | 11,000円 |
GoPro HERO7 Black | 5,000円 |
ご覧のようにカメラもかなり料金にバラツキがありますね。どの機種を使用するかはプロジェクトの予算やクライアントのご希望によって変わります。また、プロダクションによって同じ機種でも料金設定が違います。これは機材料金の違いにより細かなメンテナンスをしっかりやっているかいないかの違いやオプション品を安く提供している場合などもあり、詳細を精査しないと分からないことも多いです。あとはこうした項目の積算をしていくと動画制作1本あたりの単価がイメージできてくるかと思います。
というわけで、動画制作の相場を知ることはできましたでしょうか。動画制作では「安い」ことを売りにしているプロダクションやフリーの映像クリエイターなどいらっしゃいます。しかし、平均的な相場を見たとき、その料金が本当に適正なのかどうかは、ご自身判断に委ねるしかありません。動画制作1本数万円などというところもありますが、「値段」で勝負せざるを得ない場合、短期で大量に製作するか、自分の身を削るか、もしくはそのどちらかです。動画制作のようなクリエイティブなお仕事を外注する場合、値段だけで決めるのはリスクがあると思ってください。