映像制作の相見積が危険な理由

映像制作の相見積が危険な理由

MVJコラム

一般的には広く浸透している相見積もりは、映像制作会社を選択する際に活用されている方も多いのではないでしょうか。確かにネットで検索すれば「相見積もりを無料でします」とか、「一度に10社から見積もりを取ります」的なサイトがあり、さも当たり前の用に相見積もりを勧めています。そもそも相見積もりとは、『業務上の価格見積もりで複数企業に見積もりを出させ、比較すること。よりよい条件を提示した企業を選ぶために行う。「あいみつ」と略されることもある。』(実用日本語表現辞典)とあるように、料金を複数企業から比較し、良い条件を提示した企業を選ぶためのものです。

映像は仕様書では測れない

例えば行政の入札などはご存知の通り、仕様書がありその上で見積もりを提示します。仕様書通りに製品やサービスが提供できれば、あとは価格勝負となるわけです。これを映像制作でも同じように成果物を収めることは可能なのでしょうか?

映像制作に携わっている人間であれば瞬時に分かりますが、これは不可能です。なぜなら、映像はそれに関わる人間の「センス」や「経験」に依るところが大きいため、仕様書に落とし込むことが不可能だからです。極論的に申し上げるなら「山田洋次監督に相見積もりをお願いする人が果たしているでしょうか?」ということになります。

仕様書ではおそらく、スケジュール(納期)、尺、目的、ナレーション有無、構成案くらいの提示はあるかと思います。しかしこれだけでは、フリーランスになりたての映像クリエイターと経験抱負な映像制作会社では見積もりの価格差がかなり出ることになるのです。それでも、相見積もりだからと安い方を選んで満足のいく作品ができるのでしょうか?

入札で失敗した例

以前、とある行政関連団体から入札案件の参加依頼があり、企画書を用意して入札に臨んだことがあります。数社が参加したそのコンペで最終的に受託したのは小さな町の電気屋さんでした。企画内容よりも値段が圧倒的に安かったため、その電気屋さんで決まったのです。その後、動画は制作されたようでしたが、その映像を受け取った関係者はかなり落胆していました。それはそうです。その落札した電気屋さんは結婚式ビデオしか制作したことのなかった業者さんだったからです。値段だけで判断することが危険なのはこうした事例が証明しています。では、相見積以外にどうすれば良いのでしょうか?それは、まず「業者選定」をすることです。

「業者選定」こそが肝

先程もお話したように、映像制作という特殊な業務は、担当する人間のセンスや経験に依存します。である以上、信頼のおける映像制作会社をまず選定し、その上で料金を相談するほうが懸命といえます。仕様を少し変更するだけで料金が変わる場合もありますし、そうした相談を一緒にできるメリットもあります。例えば、「映像制作を10万円でお願いしたい」と提案され、その中に台本、撮影、編集、CG、ナレーションなど全て含めるとなると無理ですが、それを台本、撮影は社内で済まして、編集のみ(CG、ナレーションなし)だったらなんとかなるかもしれませんよ、という話し合いはできます。業界のことがよく分からないから相見積にするという企業さんも多いと思われますが、それならいっそ業者選定をしてから料金感を相談したほうが結果的に失敗なく進められるんです。

逆に相見積だけで仕事を取るような安価な会社は、安い仕事をするプロです。料金以下でどう経費を抑えながら仕事を終わらせるか常に考える人達なので、効率第一でクリエイティビティは二の次。本来のプロというのは、限られた予算や時間の中でいかにハイクオリティーな仕事をするか考えています。本当のプロはお金のためだけに仕事をしているわけではありません。

まずは予算100万を基準に

では企業VPなど作ったことがないからさっぱり分からない、という企業様はどのように進めていけば良いのでしょうか?以下を参考にしてみて下さい。

まず「予算100万」を基準に考えます。一見高いと思われるかもしれませんが、映像制作会社は数十万から数百万する高価な機材を使用して、延べ何十人というプロが何ヶ月もかけて本格的な映像制作をします。機材使用料と人件費だと考えれば、妥当な数字になってくるはずです。さて、てばその上でどこに頼むのか?という悩みができますが、これはシンプルです。

なるべくあなたの会社の近くにある映像制作会社、すなわちいつでも直接相談にのってくれそうな会社であること。そして、しっかりした経歴や受賞歴などがあることです。技術力に裏打ちされた会社でないと、映像の制作能力が高いか低いか判断できません。ですので、会社のホームページなどを見て判断をしてください。経歴など特に記載がない会社は、光るものがない会社である可能性もあります。また、いくらスタッフが多くてもそれは質が高い証拠にはありませんし、むしろ質の低い担当者が付くことだってあり得ます。ディレクターは指名制ではありませんので、大規模プロダクションなら安心ということはありません。

さて、候補となる会社が何社か見つかったら、今度はその中から電話をして相談してみてください。お仕事をする上で、気持ちの良い人間関係はとても大切です。直感的に「あ、ここ印象良いな」と思えたら、少し踏み込んだ話をしていただいて、信頼できる会社かどうか見極めをしてください。その上で「業者選択」をして頂ければ、双方にとって良好な関係性が持てるはずです。

さいごに

株式会社モーション・ビジュアル・ジャパンでは、上記の様な理由から今後相見積は有料とさせていただく予定です。基本的に相見積はお断りいたしますが、なかにはそれでも数社から見積もりが欲しいという場合もあります。そこで見積もりを有料化することで、どうしても見積もりが必要なお客様に対応させていただきます。

映像制作をするのであれば「業者選択」一択です。ただ、映像制作会社も様々です。結婚式ビデオ会社、幼稚園のイベント撮影をしている会社、映画制作会社、CM制作会社、テレビ番組制作会社。これらは「映像制作会社」ではありますが、似て非なるものです。その中から御社の予算と品質に見合った会社を選択するのであれば、少なくとも、テレビ、映画、CM界隈を得意とする映像制作会社にすべきかと思います。ちなみに、株式会社モーション・ビジュアル・ジャパンはテレビ番組制作を中心に映画やCMも制作するドキュメンタリーを得意とする会社です。もちろん受賞歴もありますのでご安心下さい。

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