ポストイットで番組の構成を考える

ポストイットで番組の構成を考える

MVJコラム

現在、CATVのドキュメンタリー番組追い込み作業中です。番組では、BtoBでの製造業をしていた社長が一念発起してBtoCの製品を開発、販売して成功を収める物語として紹介。海外を含む長期取材から1時間の番組を制作します。そんなわけで素材は何十時間もあり、編集するのも一苦労。ナレーション原稿や構成台本を用意するのですが、正直これだけでは全体のイメージが湧きづらいものです。なにせ1時間もあると、どんな素材をどこに入れて、どんな構成にすると良いのか、頭の中や台本からは見えづらいからです。

そこで、ポストイットの登場。ストーリーごとに1枚のポストイットに書き、壁に貼り付けるんです。まずは、素材を整理してストーリーをすべて書き出します。「会社の紹介」「会社の歴史」「家族とのやりとり」「◯月◯日の仕事風景」「◯月◯日のイベント」など、箱書きのように1枚1枚書いていき、とりあえず順番に並べます。「イントロ」から始まり「エンド」まで大体の流れを並べたら、編集するのもよし、とりあえず先に一通り編集したものをポストイットに書き出すのもよし。自分に合ったやり方で、とにかく一度全部ポストイットに書き出します。1時間の番組ならポストイットが20枚前後貼り付けられるのではないかと思います。

書き終わったポストイットは壁に貼り付けていきます。上から順番に貼り付けていくと、番組の流れが一目瞭然になることが分かります。これは番組が長くなればなるほど効果的。ポストイットなら、貼ったり剥がしたり何度でもできますから、構成を入れ替えたりすることが自由自在です。これで構成を試行錯誤していくと、ハッと閃くことも多々。さらに、インタビューや肝になるストーリー、ONベースで見せるところやナレーションベースの箇所などを色分けすることでより一層全体がひと目で分かるようになります。バランスを取ってみたり、わざとチグハグな構成にしてみたりと、自分らしい番組構成を思いっきり試すことができるのもこの段階です。この工程が好きな人はディレクターに向いているかもしれませんw

個人的には、こうした番組(映像)制作がきちんとできるかどうかでディレクターの力量に差が出ると考えています。1時間のドキュメンタリー番組はにわかカメラマンだけでは出来ませんし、経験の浅いディレクターではまず無理でしょう。今の時代は、ウェブで動画を見る時代なので、ショート・ドキュメンタリーが好まれる傾向にあります。ショート・ドキュメンタリーはインタビューと雑観が撮影できればある程度なんとかなってしまいますので、フリーのカメラマンやディレクターが多く活躍されていますが、長編となると誰でも作れるものではなくなります。大変力量の問われるものになるのです。

企業で制作する動画もウェブに掲載することを目的のひとつに捉えている会社様が多いので、ショート・ドキュメンタリーに向かう傾向にありますが、もし時間的に余裕があるのであれば長編ドキュメンタリーも是非ご検討いただければと思います。シンプルにプロモーションビデオでも良いですが、他社にはない魅力を掘り起こすことができるのがドキュメンタリー。それを長編でしっかりと作り上げることのできる映像制作会社はそう多くありません。だからこそその映像に価値が出てくるのです。

「言葉や文字では伝わらない・・・」 “伝える” “伝わる” 映像制作の基礎知識

  • 魅力をしっかりと伝える映像の表現力
  • プロが教える映像制作のポイント

MVJコラム

Page Top