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カメラ回しが秀逸なモキュメンタリー特集
こんにちは。株式会社モーション・ビジュアル・ジャパンです。暑い日が続いております。いつもは、動画撮影、またその手法などのお話をお伝えしておりますが、本日は少し趣向を変え、題して「カメラ回しが秀逸なモキュメンタリー特集」ということで、カメラワークやアイデア勝負の素晴らしい映画をご紹介させていただきます。夏の暑ーい時期、少しばかり涼しくなってみるのも一興でございます。
そもそもモキュメンタリーとは?
本物のドキュメンタリーのように作られるドラマ映画を「モキュメンタリー」と言います。そんなモキュメンタリー映画の多くは、一般的なホラーよりもリアルなのが特徴で、怖さのレベルも高いです。モキュメンタリーは、全て自分視点でストーリーが展開していくわけなので、迫力が圧倒的に高いです。
モキュメンタリーとしては外せない、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』(1999年)
映画を撮影するため森に入った学生たちが、恐ろしい体験をするホラー映画です。ハンディカメラで撮影された映像がメインで、まるで本当に起こった恐怖体験のように描かれています。
また、本当に伝承があるかのような語り口で、俳優さんも見たことない人ばかりなので、良い意味で素人感があります。そのため、すっかり実話だと騙されてしまう方も多いんじゃないでしょうか。序盤ちょっとストーリー展開がノンビリしてますが、後半から怒涛のように恐怖が襲いかかってきます。結構画面が揺れるのですが、それが恐怖を煽ります。綺麗に撮影するだけでなく、観客の感情をどう揺さぶりたいかで撮影の仕方を変えると良いという好例ですね。
巧みな心理描写、巧みな構成が光るモキュメンタリー『 4thカインド』(2009年)
心理学者の主人公が、夫の死の真相を探るうちに、とんでもない事実に遭遇する様子を描いた作品です。映画の映像に、本物のような映像を織り交ぜながら描かれているため、とてもリアリティがあります。
おそらく、調べたり言われたりしなければ、どちらかわからないほど精巧に作られていますよ。ホラーですが、そこまで怖くはないため、ホラーが苦手な方でも十分楽しめると思います。
あのスティルバーグも大絶賛、モキュメンタリーの金字塔『パラノーマル・アクティビティ』(2007年)
「超常現象」を意味するタイトルを冠する、この作品は、とあるカップルが家で「おかしいな」と感じたことをビデオに収めようと試みるも、怪奇現を記録してしまうというストーリーです。シーンのほとんどを、固定されたビデオ視点で見ることになります。
超低予算で作られた割には、恐怖の演出が上手く、ムダに誇張していない上にストーリーがシンプルで、リアルなのが特徴です。この演出には、スティーヴン・スピルバーグも絶賛。本当にリメイク権を得たものの、完成度の高さからハリウッドの一流の技術を持ってしても本作の恐怖を超えることは不可能と考え諦めたとか。ただし、スピルバーグの助言で、エンディングはオリジナルとは変えられていると言います。
本当に怖かったリアルなオチつきのモキュメンタリー『コンジアム』(2018年)
入院患者の集団自殺や病院長の行方不明事件などで閉鎖が決まり、長い間人の出入りがなかった精神科病院に、動画配信を行うために訪れた7人の若者が奇妙な事件に巻き込まれるというストーリー。
韓国映画なのですが、途中から登場人物の1人が取り憑かれた瞬間、他の演出と違ったのは、白目になるのではなく、黒目で早口でブツブツと言葉を発し始めるところなど、まさに恐怖でしかありません。
そして、この撮影を行なっている廃病院。実はホンモノの廃病院。それが良くなかったのでしょうか、はたまた全くの偶然だったのでしょうか。監督の実弟がお亡くなりになっているそうです。
5位実在の人物と勘違いされるほど、巧みな宣伝と企画のモキュメンタリー『ノロイ』(2005年)
怪奇実話作家・小林雅文が失踪前に完成させたドキュメンタリーを紹介するという、日本産モキュメンタリー・ホラー。小林が追う一見バラバラの怪奇事件が、とある村の儀式に関連する「かぐたば」という言葉でつながっていく。公開時には、実際に小林雅文の公式サイトを開設するなどの宣伝を展開。
超能力少女が登場する検証番組や、お笑いコンビのアンガールズと女優の松本まりからが本人役で登場する心霊スポット番組なども、本格的。個性的、謎解きが軸となった脚本が秀逸で、最後まで一気に見せる。白石晃士監督は『オカルト』といった同様の作品や、ドキュメント系の心霊ビデオなども多く手掛けていますが、2005年に制作されたこの作品が白石監督の出世作となっています。
いかがでしたでしょうか? 今回挙げさせていただいた映画はいずれもアイデアとカメラワークが秀逸な作品ばかりです。夏の暑さも吹っ飛ぶ恐怖映像で、少しばかり涼しくなるのも夏の楽しみですね。